どきどきして嫌いになった

好きなところは爪の形、長くて上を向いた睫毛、大きな目。嫌いなところは子どもっぽいところ、すぐ怒るところ、太ってるところ、すぐ泣くところ、何でもすぐに言ってしまうところ、うまく話せないこと。

小さい子みたいだね、と言われることが多くなった。小さい子みたいな良い感性を持っているだけならいいけど、悪いところばかりあって、みんないつの間にか成長していて、わたしは今まで何もしてこなかったから成長しなかった気がして、頑張って生きてるけどそんなこと声を大にして言っても誰にも届かない、届かないってやっとわかった。

はっきりとは言えないけど心の中で彼氏とうまくいってない気持ちがあってそれはきっかけがあったから。わたしの嫌なところを初めて言われた。それで落ち込んでるのもあるしこれからは気をつけようって前向きな気持ちもある。嫌なところは前のことだった、あのときすごく大丈夫だよって言ってくれたのに。さっきのわたしの行動ももしかしたら嫌だったのかもしれない、あんなに笑ってたのもほんとは違ったのかもしれない、嘘もほんともないんだよ、と教えてくれたのは彼氏だけどどっちもちゃんとあるよね、どれがほんとかわからない、そう探っていかないといけないのもどんどん心が死んでいく、会いたくないと思った。

傷ついた分誰かを傷つけたくなるような悪い子だから、嘘もほんとも信じられない子だからみんなの前からふらっと消えちゃいたい。

死ぬんじゃなくて消えてみたら?

アズミ・ハルコは行方不明を見たら、そんなことを言ってた。今日はふらふらしたい気分だ。学校に行きたくない。

まぶたのうら、眩しい

首を左に傾けたとき違和感がして、試しに右に傾けてみたらしっくりきた。知らない間にいつも右に傾けてたんだ。なんだろう。目をつぶって首を右に傾けてみたらいつもその体勢で寝てることを思い出した。

 

あともう一つ思い出したのはあなたでした。あなたの広い肩と硬い髪とあなたのにおいがする首元。

 

彼の右耳には水が溜まっていて聞こえづらくなっている。だからわたしは彼の左隣にいつも座っていて、そのせいで自然に右に向くことがなったのかもしれない。

自然に。自然になるくらい、身体が右に傾くことに慣れるくらい、彼と一緒にいるんだ。そのことを身体が覚えているのは恥ずかしいような、うれしいような、やっぱり幸せって感じがして忘れないように書き出した。

歪んじゃうといけないからたまに左に傾けておかなきゃね。

 

 

夢の中も痛みはあるんだよ

テレビで女性芸能人が旦那との不安を口にしてるのを見て、わたしなら可愛いと愛してるを言われたらうれしくなるのにって呟いたら母さんにだからみんなにちょろいって言われるんだよって笑われた。にやけちゃうくらいうれしいし不安も一気に飛んでいくのはわたしだけなのかな。

三日間熱が下がらなくてでもやらなきゃいけないレポートがたくさんあって、朝起きて熱を測って38℃の数字を見るたびなんでちゃんと頑張ってるのにこんな目にあわなきゃいけないんだろうって悲しくなってた。今日も悲しくて慰めてもらいたくて寝る前に彼氏に電話したらうまく今の気持ちを言えなかった。頑張ってるねって女子特有の共感してほしいやつだったけど明日には良くなってるよとか早く寝たら良くなるよとか解決策を言われた。噛み合わないな、こうやってだめになっていくのかな、それはさみしいけどしかたないことなのかもしれない。勝手に不安になって電話をやめたあと寝ようとしたら大好きだよのラインが来た。それだけで一気に不安が溶けて少しだけ泣いた。大好きだよに泣けるなんてやっぱりちょろいのかもしれない。もし別れたらこのことを思い出してみよ。どんなふうに感じるのかな。

 

きみもわたしもいちばん

疲れて泣いてるわたしの頭を優しく撫でながら慰めてくれた。どうしたのを何十回も繰り返し聞いてわたしの返事を待ってくれたけど疲れたしか言えなかった。

疲れたってことは頑張ったってことだよ

自然にそう言える彼氏と付き合って5ヶ月経つ。喧嘩もしてキスもエッチも数えられないくらいしてお互いの誕生日の約束も記念日も一緒にいる気がしてて結婚したらっていう愛の囁きみたいに甘くて切なくなる言葉をいくつも交わした。恋人らしいことを重ねるたびどんどん独占欲が強くなって自分が嫌になることはまだたまにある。もうこんなに自分が嫌になるなら別れたいって何回か思ったけどそれはないものねだりで彼氏がいなくなったら寂しいってまたふらふらして自分のことを嫌いになりそうだ。あと自己嫌悪を彼氏のせいにしないように気をつけよ。

頭の中で大森靖子のハンドメイドホームがずっと流れてる。わたしの疲れた理由。うまく説明できないけどここには書くね。あんまり話さない人と一緒になって疲れたよ、周りに合わせることしかできない自分は嫌でどうかしそうって感じ、でも毎日は手作りだよね、わたしはちゃんと生きててわたしが作ってる毎日があるから寂しくならなくていいよね、彼氏のこと振り返らなくてもちゃんと今愛されてるよね、

こんなこと言えないけど元気ないだけで大切にしてくれる彼氏をわたしもちゃんと今日抱きしめてくる。

輝いて消えたあと迎えにきて

気分が良くなるとお腹はいっぱいなのに炭酸水が飲みたくなって、最寄りの駅でたくさんの人と一緒に改札口を出て自販機でポチッと押して買う。昨日はレモンスカッシュ。炭酸は強いほうが好き。がつんとくるから、刺激的だから、忙しいけどわたしの毎日は現実から3ミリくらい離れててふわふわしてるから、ちゃんと生きてるか分からなくなるから、小さな泡を体に入れて喉を通る音を確認したくなる。

ほんともうそもなくてそのとき出てきた言葉や気持ちが本意じゃなくてもそれはわたしとして発信されていくから後悔してもしょうがない。あると思ってたのになかったときみたいな、虚しさを感じる必要もないのかもしれない。

でも毎日のラインもバイト先の人とのごはんもあんまり楽しくなくて、早く帰りたいって思うわたしは世界で何番目にクズなんだろうって考えながら笑ってた。どんどん自分の心が荒んでいく。彼氏といるときは癒しで平日は毎日そばにいてくれるのにそれ以上に浸食してくるものがある。死んじゃいたいも自傷したいもどうしてまた思っちゃったんだろう。ふわふわ浮いてる目の前のことがほんとみたいに自分でも認識していって頭と心はちぐはぐになっていくから?わたしはここにいるって手を振りたいけど気付いてくれる人たちになかなか会えないせいでずっとちぐはぐのままだ。

こういうときに彼氏に抱きしめてもらうとちゃんと一つになってる気がしてきて、心の中にいるわたしがわたしを抱きしめるような感覚が生まれてきて涙が出る。今日もあとで抱きしめてもらおう。ごめんね。

リボンを首に巻きつけて踊る

自分がブスに見えてしかたない。朝起きて出る準備してメイクして髪を巻いて部屋を出るとき鏡を見直して、ブスって思う。スノウで盛れても、部屋の明かりがいい感じで自分の顔がいつもより可愛く映ってもブスだなって思う。

このブス現象はいつ終わるのか。彼氏とうまくいかないのも男の子とうまく話せないのもそのせいか。このままだとどんどん負のループにはまってブスになっていく。前まではわたし可愛い!って思って外に出てたのに。このブス現象は終わる気配がない。彼氏がどんなに可愛いって言ってくれも好きなフィルターがかかってるんだよばーかって照れながら心の中でふてくされる。これもブスの行動。もう本出せる。ブスの行動集、わたしで100個並べられるよ。それでお金入るならそれもそれでいいかな、ブスが加速する前に本でも出しておくか。ばかみたい。

 

起きてすぐに思い出さないと忘れちゃうんだって

土曜日の朝

 

おととい、彼氏と喧嘩してたくさん泣いて終電で帰って始発で大学に行った。昨日は突然二人で泊まることになった。彼氏は一回家に戻らなくちゃいけなくて、マリオのゲームに出てくるクッパのお城みたいなホテルの部屋で待ってる間、お姫様の気分でもうすぐ着くよのラインに酔いそうになった。幸せな夜だった。いまその朝帰りの途中。

体育のあと、みんなで先生の恋愛話を聞いた。大学生のときいいなって思ってた女の子がいたけどメンヘラだったし両腕に自傷の跡があるのを見て好意が冷めたらしい。

わたしはメンヘラだけど、来週中間試験が多いけど、無断で外泊したから家に帰ったら親に何か言われるかもしれないけど、いまのわたしは無敵だから大丈夫。電車の中の人はみんな疲れててわたしたちの顔も寝不足で死んでたけど無敵だからスノウで記念に写真を撮った。

小さいときから読んできた物語はお姫様と王子様が揃えばなんだって無敵でその二人だけでハッピーエンドが分かってるのに、現実は何も分からなくて、大丈夫って安心するために何回も唱えなくちゃいけない。こうやって書き出してみると思い出すことはたくさんあってそのたびに恥ずかしくなって愛しくなって強くなれるって本当に思うけどもう起きてたくさん時間は経ったから唱えなくちゃ。家に着いたら唱えなくちゃ。