ありふれたラブソングよりつまらないね

ひとりでも大丈夫、わたしにはやることがいっぱいある。週4でバイトして、大学では毎週小テストもレポートもあって、休み時間には時間ぎりぎりまで友達とドラマの話をする。彼氏とだってほぼ毎日会って次のデートは何しようって考える。今度は就活で忙しい親友と2ヶ月ぶりに遊ぶ。こんなにやることがあるんだ、わたしのキャパシティは埋まってしまっている。うれしいも楽しいもつらいも。いっぱいいっぱいとまではいかないけどこれ以上増えるのはごめんだ。

バイト先の飲み会に彼がいた。話がうまい彼は先輩たちに挟まれながらも二人を笑わせて楽しく飲んでいた。わたしは先輩と後輩と3人で恋バナをして、その男二人に男はね、と語ってもらっていた。たまにみんなで彼の話を聞くときもあった。電話やごはんを食べた時に聞いた話と同じだったが、わたしはちゃんと相槌を打って軽く反応もした。たまに質問もしてうまくやったと思う。そのうち話に飽きて、いや、女の先輩と彼が話してる様子がわたしといるときと変わらないように感じてむかついてわたしはまた3人で恋バナに戻った。

男と二人でごはんなんて行ったらだめなんです、ごはん誘ったり電話したりするのは脈ありですよ、先輩やばいですよ。

後輩やいろんな先輩にやばい女認定されて飲み会は終わった。誰のせいでこんなことに、と思いながら夜道を歩く。帰る途中、彼から飲みすぎた、とLINEがきた。彼から突然連絡がくることはない。飲み会前に、行きたくない、と嘆いていた彼とこっそりLINEしていてその続きだった。他愛ない話をして、家に着いたと返信をしたら彼から電話がかかってきた。

お母さんにまた買い物を頼まれた、社員に飲まされた、気持ち悪いと愚痴を吐いている。わたしはそれをはいはいと受け流す。彼が女の先輩と仲良く飲んでいたのを思い出して嫌になりながら、酔って電話してくるのがわたしでよかったと喜びながら。まだ彼が外にいるせいか電波が悪く何度かお互い掛け直したがだめだった。家に着いてからにしようと決めてわたしはしばらく待ったが彼は他の人と電話をして寝てしまったようで結局そこで終わってしまった。

女の先輩と仲良さそうだったね、と聞いたとき彼はきつかった、と全力で否定していた。嘘っぽい。わたしといるときと変わらない感じがしたよ、と拗ねてみたら、それは絶対にない、とまた何度も否定する。やっぱり嘘っぽい、でも、信じてしまうわたしはどんどんばかになっていくんだろう。

これ以上考えることなんて増やしたくないのに、もうすでにいっぱいなのに。メーターはすでに振り切れているからわたしはこんなにおかいしいのか。彼といるときはいつもどうにでもなれ、これが最後だと思っているけどいつまで続くんだろう。電話してくれなかった、飲み会であんまり話せなかった、嫌い嫌いとひとり部屋で唱えるのに彼からの連絡を待つわたしは救いようのないばかだ。