とても無防備で、危うい

好奇心なのか、あなたが好きなのか、よくわからないけれど、あなたのいろんな顔が見たいと思った。

あなたは、人懐っこくてみんなを笑わせていつも中心にいる。わたしといるときとあまり変わらなかった。そのことを伝えたら、そんなことないよ、と否定したけど、あなたの新たな一面なんてはっきりと感じたことがないのが答えだ。わたしはあなたをほとんど知らない。口癖のように、めんどくさい、うるさいと冗談交じりに言うところも相手を茶化すところも、他の人よりいっぱい見ただけだ。ちゃんと怒ったり喜んだりしているのは見なかった気がする。初めて電話したときのほうが、はっきりと感情を出していたなんてあるだろうか。好きな人の話をするとき少し照れたような声が聞こえたのは気のせいだったのだろうか。その声を思い出せなくなるくらい、話す時間が増えて、知ることも増えて、気づいたらどんどんあなたは遠くにいた。初めて電話したとき、初めて飲みにいったときのあなたに会いたい。そのときのほうがずっと近かった。お互い知らないことばかりの、無防備な状態、事前知識のないわたしたちのほうがずっとよかった。

そんなことに今更気づいて近づきすぎたわたしはあなたの中で何番目に馬鹿な女になったのだろう。後悔することばかりだ。どうせなら知りたいことを全て知りたかった。どんなふうに怒ったり悲しんだりするの、どんなふうに大切な女の子を抱きしめて、手を繋いでキスをするの。わたしじゃなくて、本当はどんな人がタイプなの。わたしのご機嫌とりより、本当のこと、彼女作らないけど女の子と遊んでるとか大学のこととか教えてほしかった。

二人きりで話すときすら、職場と同じで名字にさん付けでずっと呼び合っていた。これからは同じ職場の人として接していくから結局変わらない。名前で呼び合いたかったのに。何もなかったようだ。

わたしが連絡しなければ何もなかったようにこれから付き合っていくんだ。悲しくない、悔しくない、わたしは大丈夫。友達もいるし彼氏もいるし大丈夫。もうわたしから連絡しない。あなたへの好奇心は捨てよう。ハローグッバイと同じ速度のような、くだらないさようなら。