どっちがいいなんて聞きたくなかった

大事そうにしてるその宝箱は何度開けても何もないんだよ。片思いは夢の話だってドラマでも言っていた。へぇーで終わる何も生まないもの。
正直言えばろくなことはなかった。たくさん傷ついたし散々なことをしてきた。こんなことをするならみっともないくらいとことんあの人のことを好きになればよかった。逃げるんじゃなくて、素直になって他の人なんかどうでもいいって周りが引くくらい、追いかければよかった。あの人からの甘い言葉を数えるたびわたしも同じように言えなかったことを後悔する。苦い言葉がその分返ってきていたのかもしれない。自業自得だ。割り切れないなら踏み出しちゃいけないこと。正しいことに悲観してヒロインになったつもり?それでも好きな人に好かれないのは悲しいし、馬鹿だなあって笑い飛ばして慰めてくれたあの人がほしくなる。苦しくてこのままだといい思い出も嫌いになりそうで、持ってる思い出すべてが悲しみになる前に宝箱にしまう。あなたが好きだった。何度開けても何もなかったそこにひとつだけ、とびっきりの思い出をしまえば大丈夫。