あの日の、あのときのまま

男友達に告白された。わたしに好きな人がいると知った上で、そりゃ何されてもってわけじゃないけど、好きを搾取されてもいいんだ、とも。なにそれめっちゃ好きじゃんとふざけて言ったとき、そうだよ、と即答されてこの人は馬鹿だな、でもうれしいな、がぐるぐる混ざってお酒をたくさん飲んだ。ドライブして海に行く約束もした。わたしを追いかけてくれる人といるのは楽な反面、あの人の前にいる自分を見ているようでまた悲しくなる。

あの人のことを友達に話したら、思わせぶりなことを言って騙してたんだよ、ろくでもないやつだよ、と言われた。そうだよね、やめておくと笑って誤魔化すのも上手くなってきた。誰に話しても悪者にされるくらい、あなたは最低な人だった。それでも、少ない思い出の一つ一つを擦り切れるくらい繰り返し再生しては泣いて、あの人を好きだと思い知る。LINEもあの人にとっては暇つぶしでしかないのに、無視することもできない。この前も急に電話がかかってきた。LINEをしている最中だった。乗り換えを間違えて次の電車を待っているらしい。アナウンスが聞こえてくるたび終わるのが嫌で彼への相槌がつい小さくなる。結局10分もしないで切れてしまったけど、うれしかった。他愛もない話だったし誰でもいいのはわかってるのに。なにそれめっちゃ好きじゃん、って自分に突っ込んでみたら、また泣いてしまった。いつまでこんなことやってるんだろう。